『テンペスト』

「雲を頂く高い塔、綺羅びやかな宮殿、厳しい伽藍、いや、この巨大な地球さえ、
因(もと)よりそこに棲まう在りと在らゆるものがやがては溶けて消える
あの実体の無い見せ場が忽ち色褪せて行ったように、後には一片の霞すら残らぬ
吾(われ)らは夢と同じ糸で織られているのだ
ささやかな一生は眠りによってその輪を閉じる」
(『あらし』シェイクスピア、福田恒存訳、新潮社版、1971年)  

白井晃が夢を織る。3時間の、束の間の幻。シェイクスピア最後のファンタジー。
最後の舞台で、人は人の世に帰り、人を愛し、赦し、そして自由になる。
(公式サイト)

舞台を埋め尽くす大量の箱、箱、箱、そして山のような本。白井晃の頭の中は、子供並みに柔かいんでしょうね。
そうだった。思い出した。想像の舞台では、箱の山は、難攻不落の要塞にも、お城にも、ジャングルにもなるんだもの。こういうの好きだなあ。
ミラーボールだけはやめとけ…と思ったけど、他の演出は無駄がなくて無限の広がりを表現できてて凄いなと。
あと、古谷一行のプロスペローも重厚で良かったけど、周囲の脇役陣がすごくうまいんだろうなと思った。
主演を食わず、それでいて豊かに演じきるという。

翻訳は近年上演されているシェイクスピア劇と同様に、松岡和子訳なんだけど、どうしてなんだろう。

わたしは福田訳が好きだー!!

しかつめらしいとか古臭いとか言われようと

好きなんだーー!!!


あれはね!タイムレスビューティーですよ!大体シェイクスピアなんだからね、そこ譲らなくて良(以下略)

というわけで(どんなわけだ)福田訳で『テンペスト』の名台詞を貼りつけておきます。


「これ程美しいとは思わなかった、人間というものが!
ああ、素晴らしい、新しい世界が目の前に
こういう人たちが棲んでいるのね、そこには!」

「吾(わ)が身の果てはただ絶望のみ、友の祈りに助けを借りねばなりませぬ
祈りはやがて天の扉を叩き、神の慈悲を動かし、
この身の犯した過ちもすべて許されましょう」

(上記と同じく福田恒存訳、新潮社版、1971年)  

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